ピンブラブログ

音楽と猫をこよなく愛する若干隠居気味のバンギャルブログ。

井上貴子『ヴィジュアル系の時代―ロック・化粧・ジェンダー』

ヴィジュアル系の時代―ロック・化粧・ジェンダー (青弓社ライブラリー)


うーん、コレは全体的にちょっと弱かったな。
この本は、一体誰に、どんな読者層に向けて書かれているんだろう?
V系文化やバンギャル文化に全く浸かっていない、いわゆる“一般人”に向けて書かれているのだとしたら、偏見の塊であるV系バンドが更に偏見でまみれるような。

まず、論者たちがアカデミック畑の方々で年齢層が高く、思春期にヴィジュアル系を通っていないから少しばかり説得力に欠ける。
そう、体験が殆ど語られていないので教科書的。
私にとっては非常に退屈(笑)。

V系を「ジェンダー」の観点から考察したり、V系のルーツを洋楽や昔の少女漫画から引っ張ってきたり、コスプレに焦点を当てているのはいいんだが、既に各所各方面で語られていることなのでちょっくら今更感が(ご存じない方はググったりウィキったりすればいいよ)。
あと、本書に登場するニュー・カマーがPsycho le Cemuだったりで情報が古い(まあ発刊が2003年だから仕方ないけど)。
ファンの生態も一応よく調べられているんだが、多分現代の若いバンギャル全てには当てはまらないと思う。

ついでに、ここでも大々的に「ヤオイ文化」が取り上げられているんだが(頼むからやめてくれ胃が痛い)、ぶっちゃけ、こっち側としては、ただ単に美形が女装をして妖艶に絡んでいればいいというわけではない!(やめてくれとか言っておきながらすみません)

あのね、自分がメインで通ってきたバンドをよくよく振り返ってみたのですよ。

Eins:Vier→PIERROT→deadman→emmuree

この中に“正当派”の美形がいるか?
…いねえだろ…。
確かにdeadmanの眞呼様は中世的な雰囲気を醸し出していたけど、アレは“異形の者”というか、パフォーマーとしてのメイクだったよね。
emmureeの朋さんも確かにメイク映えして美しいけど、決して女々しくはない(むしろ雄だ)。
PIERROTに至ってはオチだらけ…(アッー!)。
いくらハクエイが美形でもハイドが妖精さんでも清春が美少年でも、私はそっち方面に全くなびかなかったのだ、残念なことに。
そんな私としては、以前2chのヴィジュサロンにあった「ボーカルが不細工なバンドは大抵売れる」スレのほうが興味深かった(面白かったのは最初のほうだけだが。もう落ちたよね?)。

私は少女漫画から飛び出して来たような分かりやすい美形がV系をやっているよりも、決して美しくはない…その容姿的なハンデ(と言っちゃ失礼かしら)やコンプレックスを覆すがごとく、奇抜なメイクをし、派手に着飾り、堂々と世界観を構築しているV系が好きなのである。
そんな彼らのスッピンがショボかったときのギャップと言ったらもうたまらんぜ(ことごとく失礼極まりないな)。

…ああ、何か本の内容から俄然ズレてきた…項目を分けたほうが良かったかしら…。

まあ、こういうバンギャルもいるわけなので、もし万が一、V系を知らない方が本書を手に取ったとしても、書かれていることを全て鵜呑みにしないでくださいね!(笑)。

巻末の「ロック史外観図表」やバイオグラフィー(何故ラルクがあって黒夢がないんだ!)も、やや物足りないな。
やっぱり詳しいバンギャルに作らせたほうがいいってば(笑)。
V系のルーツを何となくお勉強してみたい方にとっては良いかもしれません。

あ、そう言えば以前バカ水さんでも感想を書かれていました。


4787232169ヴィジュアル系の時代―ロック・化粧・ジェンダー (青弓社ライブラリー)
井上 貴子 室田 尚子 森川 卓夫 小泉 恭子
青弓社 2003-07

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