ピンブラブログ

音楽と猫をこよなく愛する若干隠居気味のバンギャルブログ。

ミリキタニの猫

1日は映画の日
というわけで、先週の土曜日は久し振りに映画館で映画を見て来ましたよー。
仙台セントラル劇場(あ、今は桜井薬局セントラルホールだっけ)という、非常に古い小さな映画館なんですが、仙台市街に残る貴重な映画館です(郊外に次々とできたシネコンのせいで街中の映画館はバタバタと消えてしまった)。
券売機とかありえない位古いんだぜ!(食券買うようなやつを想像してください)
椅子も堅いし肘掛けは木製だし。
たまに覆面上映とか変なことやってるし。
だからこそ、こういう場所で見る価値のある映画だったと思う。

ずっと見たかったものだし、とてもいい映画だった。

ただ、「よっしゃ、人も少ないし字幕のよく見える位置をゲットだぜ!」と意気込んで前のほうに座ったら、字幕が縦書きだった。

超 見 辛 か っ た … !

これだけが唯一の心残りよ…。

さて、肝心の内容。

あらすじは面倒なんでオフィシャルサイトを見てください。

ミリキタニの猫
http://www.uplink.co.jp/thecatsofmirikitani/


※オフィシャルサイト公認のブログパーツです

※以下ネタバレを含みます

ニューヨークの路上で絵を売って暮らす日系ホームレスのミリキタニ(三力谷)爺さん。
生まれはアメリカ、育ちは日本・広島。
そして更にアメリカへリターンズ。

何か、何かもうこの人…。

超 ロ ッ ク だ ぜ … !

悪く言えばただの頑固じじいだが、反骨精神の塊みたいだった。

芸術という自由を求めて渡ったはずのアメリカ。
それなのに、戦争の名の下に自由を奪われ、挙句自ら市民権を棄て(棄てざるをえなかった)、元敵国をひどく憎むようになる。

いずれ共同生活をすることになるリンダ監督と出会った当時のギラギラした目。

それが次第に柔らかいものへと変わっていくのね。
終盤ではアーティスト然としたシャレオツな爺さんになっていたし。

その経過が見事に映し出されていた。

カメラを回されることによって、劇的に変化した彼の人生。

そう、これは鎮魂・再生の物語だ。

爺さんと周囲の人々のやりとりを見ていると、アメリカという国は憎んでいても、アメリカ人のことは憎んでいないんだなあって、ちゃんと伝わってくる。
彼の人生を淡々と記録しているようで、きちんと起承転結があるドキュメンタリー(まだ人生は続いているけど)。

実際、中盤から涙が止まらなかったんだが(歳だな…近年涙腺が緩くて困り果てています)。
何が泣けたかというと、この爺さんが80歳になるまで生きていたってこと。
人を殺して泣かせる映画はいくらでもあるけど、これはそういう類の映画じゃなくて。
過去にさまざまなことがあって、きっと世捨て人みたいになっていたんだと思う。
なのに、80歳を越えて、こんなに素敵な出会いがあるなんて、純粋に「いいなあ」と思ったら泣けてきた。
最後には生き別れになっていたお姉さんにも会えたし。
監督だって、最初は普通にホームレスのドキュメンタリーを作りたかったんだろうけど。
一緒に暮らしていくうちにお互い何かが芽生えちゃったんだろうねえ。

「事実は小説よりも奇なり」とはまさにこのこと。

そして、どんな状況下でも「絵描き」でいることはできるんだなあ、と。
趣味で絵を描いている者にとって、非常に励みになりました。
「自称・芸術家」でもいいじゃん、自分がそう思っているなら。

ドキュメンタリーだから退屈に感じる人もいるかもしれないけれど、私は今年見た中で一番いい映画だったと思う。
一週間のみの上映というのが大変残念。

和の心、武士道を忘れてしまった日本人にこそ見て欲しいです。


余談:若い頃のミリキタニ爺さん、好青年…!スゲーモテそう!